1.運動方針
(1)生涯学習ニーズへの取り組みの推進
入学資格に特に制限がない専修学校一般課程及び各種学校は、誰でも自由に、職業上又は生活上必要な専門的知識や技能、教養等を学ぶことができる機能を有しており、生涯学習の観点から最も期待される学校である。コロナ禍ではデジタル化への対応が必ずしも早い領域ではない生涯学習教育において様々な工夫や取組が行われ、従来の対面の学びと新しいオンラインの学びとのハイブリッドによる学びの実現が進むなど、学びを通じて生活や地域を豊かにした。ポストコロナにおいても、生涯学習教育が果たす役割や重要性を広く社会に普及していく必要がある。
本協会では、会員校が行う生涯学習事業を広く社会に認知・普及させるとともに、各学校がその特色や機能を活かして、広く国民の学習ニーズに合わせた多様な教育を展開することを目的として「生涯学習カレッジ認定講座認定事業」を推進、全会員校への定着とともに、より一層の充実を引き続き図っていく。
(2)行政を含む地域における連携
文部科学省が行う「学校を核とした地域力強化プラン」のうち、「地域と学校の連携・協働体制構築事業」等の施策に積極的に対応し、専修学校一般課程及び各種学校が地域社会の生涯学習を支える担い手として都道府県、市町村の教育委員会等と連携を図り、地域社会全体の教育力の向上及び地域の活性化を図る必要がある。
少子化・高齢化の進展、共働き世帯、一人親世帯、独居老人の増加など、地域力の衰退、地域格差・経済格差の拡大に直面するなか、持続可能な社会づくりを進めるため、専修学校一般課程及び各種学校を核とした、学習を通じて身に付けた知識・技能や経験を地域や社会での活動に生かす人づくり・地域づくりの好循環を創出する必要がある。
厚生労働省が行う職業能力開発促進事業において、令和4年3月に一部改正された職業能力開発促進法により、都道府県において組織される新たな協議会構成員に職業訓練・教育訓練実施機関である専修学校、各種学校等も参画することになった。専修学校、各種学校が都道府県との連携を図り、職業訓練に地域のニーズを適切に反映させること等により、効果的な人材育成につなげる必要があることから、本協会では会員校に向けた情報提供を行う。
また、リカレント教育(学校教育から一旦離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていく社会人の学びなおし)に関連して、文部科学省令和5年度予算(概算要求)のうち、専修学校各種学校関連予算案では、「専門職業人材の最新技能アップデータのための専修学校リカレント教育推進事業」が新規予算として計上され、専修学校と企業・業界団体等が連携体制を構築し、受講者の知識・スキルを最新のものにアップデートできるリカレント教育プログラムを作成、業界団体を通じてリカレント教育コンテンツの情報提供を行う体制を構築する、とある。
地域に特化したリカレント教育が安定的、持続的に活用できる体制の構築や各地域の職業訓練の充実、活性化に向けた取り組みを推進する必要がある。
(3)学習成果の社会的評価の向上に向けた単位認定の研究
国民一人一人の能力の向上・底上げを図るためには、社会全体で多種多様な学習機会が提供され、また、その提供される学習機会の質を向上させることが不可欠である。また、個人の学習成果が適切に評価され、社会で幅広く通用するための環境の構築が求められる。現在、文部科学省においては、個人の学習成果の活用促進という観点から、「生涯学習パスポート」の作成・活用が推進されている。これは、個人が進学や就職・転職、あるいは社会的な活動につく際に個人の資質能力等をより適切に評価してもらうことを期待して、生涯学習によって得た能力等の学習成果を詳しく記述し、提示するものである。専修学校一般課程及び各種学校における学習成果も、将来的には高等学校や放送大学など各教育機関の判断により単位として認定されるよう対応・研究する必要がある。
(4)専修学校一般課程及び各種学校の社会への発信力の強化と情報の共有
専修学校一般課程及び各種学校の諸活動に関する継続的な情報提供等を通じて社会に対する発信力を強化する。また、会員校間の相互ネットワークによる情報共有機能の構築を推進するために協会ホームページの充実を図る。
(5)学校評価と情報公開への取り組みの推進
地域の教育を担う公器としての専修学校一般課程及び各種学校の社会的説明責任を果たす観点から、「専修学校における学校評価・情報公開ガイドライン」、「専修学校における学校評価実践の手引き」などを参考として、専門学校に準じた学校評価と情報公開の積極的推進を図る。
(6)教育費私費負担の軽減に資する公的財政支援制度の研究
高等学校等就学支援金の制度対象校の拡大により、一定要件を満たす各種学校についても、高等学校等と同様の支援策が講じられることとなった。
さらに、専修学校一般課程及び各種学校の持つ職業教育機能の活用として、厚生労働省の雇用対策・能力開発施策への対応も必要である。
このような個人補助の観点に立った公的な支援制度に関する情報の収集、研究を行う。
(7)日本政策金融公庫が行う「国の教育ローン」の普及・啓発
専修学校一般課程及び各種学校は、日本政策金融公庫が行う「国の教育ローン」の融資の対象となっている。
融資の対象としては、学校納付金、受験にかかった費用、アパート・マンションの敷金・家賃など、教科書代、学習用品費等、使いみちは多岐にわたり、教育資金の必要な学生にとり有効な手段と考えられることから、経済的理由により修学を断念する学生が出ないよう、あらゆる機会を活用して会員校に周知し、普及・啓発に努める。
(8)金融機関の窓口での本人確認書類の提示等の取り扱いについて
現在、犯罪による収益の移転防止に関する法律により、専修学校一般課程及び各種学校の入学金、授業料等の支払に係る現金での振り込みについては、その額が10万円を超える場合は、金融機関の窓口での本人確認書類の提示等が必要となっている。専修学校一般課程及び各種学校に対しても、専門課程・高等課程と同様の取り扱いを求める。
(9)協会組織の強化、情報提供に向けた調査研究
本協会の事業活動等の情報を提供して都道府県協会等への入会を促進するとともに本協会活動への参加を積極的に促し、会員校の増強を図ることとする。また、会員校の教育の質向上や健全な運営、教職員の資質向上、職業教育のより一層の振興に資するため、一般財団法人職業教育・キャリア教育財団(TCE財団)及びキャリア教育共済協同組合の各種事業への会員校の参加を促進する。
本協会の一部会員校も対象となる学校法人制度改革など、国が行う具体的政策に関する必要な情報を継続的に提供するなど会員校の理解促進に繋げる。
全専各連が実施している専修学校各種学校都道府県助成状況調査結果等を利用した独自の事例収集を行うとともに、各学校における特色ある収益事業・付帯事業等の研究をとりまとめ、定例総会等において会員校への情報提供、共有化に努めるとともに、協会ホームページ上において公開する。
2.会議の開催
(1)定例総会
6月に開催する。議題:令和4年度事業報告・決算報告、令和5年度事業計画・予算について協議する。
(2)理事会
年4回開催(第1回:5月、第2回:6月、第3回:11月、第4回2月を予定)。
(3)監査会
年1回開催。
3.研修会等の開催と講演録の刊行
定例総会開催後にオンラインを併用して研修会を開催し、本会運動方針に則ったテーマで講演・事例発表等を行う。また、研修会の内容を収録した講演録を作成し、会員校へ発送するとともに、協会ホームページ上で公開、運動方針の推進に資する。
4.委員会活動
(1)生涯学習カレッジ認定委員会
令和6年2月の第4回理事会前に開催し、令和6年度の生涯学習カレッジ認定講座の募集要項や推進施策等について検討する。
5.勉強会及び調査研究活動の実施
これからの専修学校一般課程ならびに各種学校振興に資する勉強会及び調査研究活動について理事会において検討・協議する。
コロナ禍においてこれまでの対面授業からオンラインを活用した授業へと授業形式に広がりを見せる中で、各種学校における遠隔授業のあり方に対する議論は進んでいない。将来の新たな学びの方法の選択肢として調査研究を行う。
6.広報活動の推進
専修学校一般課程及び各種学校の社会に対する発信力を強化するために、全国専修学校一般課程各種学校協会ホームページの内容の一層の充実を図ると同時に、各地域において社会・経済を支える基盤となる専修学校一般課程各種学校の実態を知らしめるために、会員校の名簿掲載を拡充する。また、全専各連が実施している専修学校各種学校都道府県助成状況調査結果等を利用して、都道府県から専修学校一般課程及び各種学校への補助・助成措置について事例収集を行い、定例総会等において会員校への情報提供、共有化に努めるとともに、協会ホームページ上において公開する。