専修学校制度制定40周年事業
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特色ある教育を展開する高等専修学校COLUMN高等専修学校は、専修学校の中で中学校卒業以上を入学資格とする課程。一定の要件を満たした3年制の学校には大学入学資格が付与されており、実践的な職業教育機関であるとともに、高等学校と同様、後期中等教育機関としても重要な役割を果たしている。また、不登校や中途退学を経験している生徒の学校生活のサポート、発達障害児への特別支援教育における独自の取り組みなど、他の学校にはない特色ある教育を展開し、多様な若者の自立を支援している。また、全国高等専修学校協会主催の全国体育大会が毎年開催されており(2015年度・第25回)、スポーツを通じて生徒に新たなモチベーションを与え、健全に育成するために、全国の教職員が一丸となって取り組んでいる。こうした中、2009年7月の中央教育審議会「キャリア教育・職業教育特別部会」の審議経過報告にもあるように、高等専修学校の教育機能の強化、制度充実を求める声は年々高まっており、2010年度には高等学校等就学支援金の支給対象となった。今後も、高等専修学校の社会的役割が増していく中、国と全専各連・全国高等専修学校協会が連携し更なる振興策実現が期待される。文部科学省、「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究協力者会議」を設置2009(平成21)年11月11日、文部科学省は、「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究協力者会議」を設置した。これは、2008年11月に公表された「専修学校の振興に関する検討会議」の報告や、2009年7月のキャリア教育・職業教育特別部会の「審議経過報告」において、専修学校の教育内容の充実・振興に関する検討の必要が指摘されたことを受けたものである。協力者会議は、①教育内容・方法の改善・充実、②多様な学習ニーズへの対応、③各種制度等における専修学校の取扱い―を主な検討事項とし、学識経験者や専修学校関係者など13人の委員で構成された。2010年3月26日には、会議の途中経過を「多様な学習ニーズへの対応等に関する検討の方向性」として、キャリア教育・職業教育特別部会に報告。同報告では、対応すべき課題として、①学校教育における進学のミスマッチへの対応と職業・社会への円滑な移行の促進、②多様な学習者の多様な学習ニーズへの対応、③就業構造の変化への対応―の3点を指摘、また、今後目指すべき方向性の基本的な考え方として、①多様な学習者のニーズや社会の様々な要請に応え得る学習機会を提供するとともに、その教育の質の向上により、職業教育の中核的機関としての専修学校教育に対する社会の信頼を高めていくこと、②専修学校教育への理解増進を図る積極的な措置を通じて、専修学校教育へのより多くの人々のアクセスを促すこと―の2点を示した。このほか制度的な提案として、「単位制・通信制学科の制度化」や「定員の2分の1と現行規定されている留学生受入れ枠の弾力化」などに加え、「激甚災害時における復旧支援、通学定期の指定学校の要件など、制度等における取扱いの相違に関する精査と必要な見直しの要請」が明示され、全専各連が掲げる「現行制度の充実・改善方策の推進」に向けて、より具体的な道筋が示された。2172009年度キャリア教育・職業教育特別部会、中央教育審議会総会に「審議経過報告」提出2009(平成21)年7月30日、キャリア教育・職業教育特別部会の「審議経過報告」が中央教育審議会総会に提出された。同報告書では、「新学校種」創設について、「高等教育における職業教育の在り方」の中で「職業実践的な教育に特化した枠組みの整備を検討すること」の必要性が明記された。制度化については、「大学制度の枠組みの中」または「別の学校」という2案が存在するとして、前者の場合は2種類の大学制度が併存することで学位の国際通用性の確保が問題になること、また後者については、既存の大学等との関係や社会認知の点を課題としている。以後、これらの課題も含め、検討が続けられることとなった。また、「後期中等教育におけるキャリア教育・職業教育の在り方」の中では、高等専修学校の改善・充実について言及されており、制度面も含め、一層の充実に向けた検討が必要と明記された。1

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