専修学校制度制定40周年事業
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「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究協力者会議」が報告書を公表2011(平成23)年3月、文部科学省の「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究協力者会議」は、2009年11月以来15回にわたる議論の結果を、「専修学校教育の振興方策等に関する調査研究報告~多様な学習機会の充実と教育の質向上等に向けて~」と題する報告書にまとめ公表した。同報告書では、以下の7つの視点から振興方策の具体化を提言した。①社会人等の多様なライフスタイルに即した専門学校等の学習機会の充実を図る。②実践的な職業教育等を通じて、後期中等教育におけるもう1つの選択肢を提供し、多様な若者の自立を支える高等専修学校の機能の充実を図る。③経済社会のグローバル化や、知識・技術の高度化、雇用の流動化に対応した人材育成等を推進する。④地域における人材育成のためのネットワークを構築し、専修学校が積極的な貢献を果たす。⑤教育の質向上に向けた研究・研修等の活動を活発化するよう、学校間の連携・教員間の情報交流のための組織体制を整備する。⑥より自由度の高い学校種としての特性を踏まえつつ、専修学校のガバナンス改善等に向けた評価と情報公開の取り組みを促進する。⑦専修学校制度・教育に対する理解を増進し、若者等の進路選択におけるミスマッチの解消を目指す。同協力者会議の議論の成果は、2010年9月に実現した「留学生受入れ枠(総入学定員の2分の1まで)の弾力化」や、2011年3月に策定された「高等専修学校における情報提供等への取組に関するガイドライン」、2012年度の単位制・通信制の制度化などに結実している。2東日本大震災発生2011(平成23)年3月11日午後2時46分、観測史上最大規模となるマグニチュード9.0の巨大地震が発生。東日本の沿岸部を中心に、津波による家屋倒壊や浸水が相次いだ。専修学校・各種学校の人的被害(児童・生徒・教職員含む)は死亡4名、負傷35名、安否不明12名。物的被害は454校にのぼった(2011年12月時点文部科学省調べ)。全専各連は、地震発生後直ちに、全国の安否・被災状況について調査を開始するとともに、義援金の募集や震災復興HPの立ち上げ等、全国規模の復興支援活動に向けて動き始めた。また、文部科学大臣をはじめ、関係各所に、被災した学生・生徒支援のための働きかけを行った。3192010年度中央教育審議会、「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」を文部科学大臣に答申2011(平成23)年1月31日、中央教育審議会は、総会において、髙木義明文部科学大臣に「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」を答申した。2010年12月24日に、キャリア教育・職業教育特別部会によって提出された答申案を、中央教育審議会が審議・了承したものである。同答申は、「序章」で、学校から社会・職業への移行が円滑に行われていない現状を指摘。それに続く「キャリア教育・職業教育の課題と基本的方向性」では、幼児期の教育から高等教育段階まで、発達に応じた体系的なキャリア教育の実施が必要であること、さらに職業教育については、実践的な職業教育の充実に加えて、職業教育の意義の再評価を促す提言がなされた。高等教育における「職業実践的な教育に特化した枠組み」についてはその必要性が盛り込まれており、全専各連が目指す「新たな学校種の創設」の道筋が明確に示された。ただし、「新たな枠組み」の検討の方向性については、「既存の高等教育機関において新たな枠組みの趣旨をいかしていく方策の検討」という記述もあり、“既存の学校種の活用”と“新学校種創設”の両論を併記するかたちで最終的にとりまとめられた。また、同答申における「新たな枠組み」のイメージについては、「卓越した又は熟達した実務経験を基盤として実践的な知識・技術等を教授する」ものと定義されたほか、修業年限2~4年のなかで、企業等との密接な連携を図り、最新の実務の知識・経験を反映させた教育の実施を担保することなどが掲げられた。一方、専修学校制度の充実・改善に関しては、単位制・通信制の導入や、高等専修学校教育の充実等が提言されており、これ以降、振興方策実現に向けた動きが加速することとなる。1中央教育審議会の第74回総会で三村明夫中教審会長から答申を受け取る髙木文科相(写真左)

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